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白色鉛筆は「どう使えばいいか分からない」と感じやすい色ですが、実は作品の完成度を大きく高める重要な存在です。ここでは、白の基本テクニックを3つと、おすすめの白色鉛筆をご紹介します。
使用例に、オリジナルキャラクター「モコた」の線画を用いています。なお、説明を分かりやすくするため、まず他の色を塗ってから白を重ねていますので、ぜひダウンロードしてやってみてください。
1. 白くしたい部分に重ねる
白い紙にそのまま白を塗っても見えにくいため、まず周囲に色を入れてから白を重ねるのが基本です。
例)
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ボタンのハイライト:紙の白を残しただけだと浮きやすいので、上から白を軽く重ねて馴染ませると自然な白になります。
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靴のつま先:明るく見せたい部分に白を入れると、丸みが出て立体感が増します。
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水滴や光の輝き:ハイライトを残したうえで白を薄く重ねると、透明感や柔らかな光の表情が生まれます。
この方法は背景にも応用できます。下地や周囲に色を置き、白を後から重ねることで、全体をやわらかく華やかに整えられます。
2. 色を「伸ばして」なじませる
他の色の上に白を重ねると、粒状の塗り残しが消え、表面が滑らかになります。
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トーン調整:白が入ることで全体がパステル調のやさしい色味に。
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グラデーション:境目に白を重ねると、繋がりが自然でなめらかに。
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模様上の応用:たとえば水玉をグラデーションで塗った後、全体に白を薄く重ねると透明感と統一感が増します。
「紙の上で色を混ぜる」感覚で、白をブレンダー(なじませ役)として使うイメージです。
3. 線画を薄くしてナチュラルに仕上げる
黒く太い線は存在感が強く、塗っても平面的に見えやすいことがあります。黒線の上から白を薄く重ねて線を和らげると、全体が自然な印象に。さらに白の上から色を重ねると、黒線がより目立たなくなり完成度が上がります。
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塗り始めは軽く:白は他の色を弾きやすい性質があるため、最初は強く塗りすぎないのがコツ。
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印刷の黒にも有効:印刷された黒部分に白をひと塗りしてから色をのせると、色の入りが大きく変わります。
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芯の黒を和らげる:鉛筆の黒っぽさに白を重ねてから色をのせれば、柔らかいトーンに変化。線の色味を変えるだけでなく、線画の印象や形の見え方をコントロールする応用も可能です。私はこれを「整形塗り絵」「コスプレ塗り絵」と呼び、塗り絵の新しい楽しみ方として紹介しています。
仕上げとレイヤーの重ね方
全体の仕上げとして白を薄く入れると、表面がなめらかになり統一感が生まれます。もっと色を深めたい場合は、
白 → 色 → 白 → 色 の順で薄く何度か繰り返すと、密度と透明感のバランスが整います。比較として、右半分を黒線のまま、左半分を白で和らげてから色を入れると、雰囲気の差がはっきり分かります。背景を加えると同化が進み、完成度はさらに上がります。
おすすめの白色鉛筆

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ホルベイン アーチスト色鉛筆(白)
発色が美しく、芯がやわらかくて色のりが良い一本。普段別メーカーを使っていても、白だけはホルベインを取り入れる価値があります。

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ポンキーペンシル(白)
クレヨンと色鉛筆の中間のようなやわらかい芯で、軸全体が芯のためたっぷり使えます。濃い白をのせたい時や、黒線をしっかり和らげたい場面で活躍。価格も手頃で、どちらも単品購入が可能です。
おまけテクニック:白の“弾き”を活かす
白は他の色を弾きやすい性質があります。先に白で模様を描き、後から色を重ねると、白い模様が浮き上がる簡易マスキングのような効果に。白く残したい部分の表現にも応用できます。ぜひいろいろ試して、表現の幅を広げてみてください。
白は「明るくする」だけでなく、なじませる・和らげる・統一する役割を担う多機能カラーです。白を使いこなすほど、作品の完成度は確実に上がります。感想やリクエストがあれば、ぜひコメントでお知らせください。

