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今回は、布のシワの基本的な考え方と、リボンを題材にした具体的な塗り方を解説します。
同じ線画を使って一緒に塗れるよう、ヌリイロ公式サイトでは「ダウンロード版」と「印刷済み線画」の2種類をご用意しています。お好みに合わせてチェックしてください。
1. シワを観察して理解する
まずはシワの仕組みを簡単に観察します。ティッシュを一度くしゃっと握ると、大小さまざまなシワが生まれます。左から光が当たっていると仮定すると、右側に向かって暗くなり、形としては「上がっては下がる」を繰り返します。大きなシワも小さなシワも、同じ原理で起きています。
線画に描かれている「シワの線」は、以下のどちらかを示しています。
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光と影の境目
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影のいちばん暗いところ(影の芯)
塗るときは、線だけを囲って暗くするのではなく、「1枚の布が連続してつながっている」ことを意識し、線から周囲へ緩やかなグラデーションで影をつなげていくのが基本です。
2. 線画と影の関係(簡易断面図の考え方)
布を横から見た断面を想像すると、山と谷の起伏に沿って、下側ほど暗いグラデーション、上側ほど明るいグラデーションになります。線画にシワの線が入る位置は主に次の2パターンです。
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Aパターン(境目の線)
線が明暗の境目を表すときは、線の片側を暗く、反対側を明るくします。線を挟んでコントラストをつけるイメージです。 -
Bパターン(影の芯の線)
線が影の最暗部(谷)を示すときは、線を中心に暗さを置き、外側へ向かって徐々に明るくなるようにグラデーションを作ります。
実際の布では、AとBの両方を使い分ける場面が多くあります。
3. リボンの塗り方(実践)
リボンは中央の結び目に向かって布が引かれるため、結び目付近にシワが集中します。複雑に見えても、基本の考え方に沿えば大丈夫です。
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シワの線の見極め
線画の黒い線が「シワの線」です。カーブしているシワは谷側(内側)に影を入れると自然に見えます。 -
影は“少し長め”に
線のすぐ脇だけで影を止めると不自然です。線より気持ち長めに影を伸ばし、ふわっと自然に切らします。 -
結び目は立体(球体)として捉える
結び目には丸みがあります。上下左右の縁をやや暗く、中央を明るく残すと立体感が出ます。引っ張られている箇所(結び目の際)はより暗く。 -
膨らみ=ハイライト
今回の例では、右側にふくらみが出る形。ふくらむ側は明るく、外周にもわずかな陰影を入れて立体感を強調します。 -
下がりのパーツ(垂れ部分)
垂れたリボンには縦方向のシワが入ります。シワ線に対し片側を暗く、反対側を明るくするAパターンで塗ると、すっきり見えます。 -
重ね塗りで深みを作る
ベースの影に、茶色→赤などを重ねて色に深みを出します。最暗部には黒を“ごく軽く”重ね、強く出しすぎないよう注意。
※明るい部分は完全な塗り残しにせず、ごく薄く色を入れておくと自然に馴染みます。
4. 仕上がりのチェックとポイント
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今回のリボンの主要なシワはAパターンで処理しています。線の隣に暗い側と明るい側が必ず対になっているかを確認しましょう。
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布の柔らかさを出すには、色の変化を急にせず、エッジを立てすぎないなめらかなグラデーションが鍵です。
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線の上下(または左右)どちらを暗くするのかを起伏(山・谷)で判断し、影は線より少し長めにのばすと自然です。
5. 次回予告
次回は「布のシワの塗り方と考え方②」として、スカートやカーテンを題材に、BパターンやA+Bの併用も取り上げます。より多様な布表現に挑戦していきましょう。
ご覧いただきありがとうございました。動画の感想やリクエストもお待ちしています。