共有する
今回は、塗り絵の背景に使える「基本の塗り方」を紹介します。手軽なのに仕上がりがぐっと良くなる方法ばかりです。
背景とは、モチーフの外側にある余白部分を色で満たし、主役を引き立てて作品の世界観をつくる要素のことです。必ずしも塗る必要はありませんが、背景を加えると完成度が高まります。背景が苦手な方も多いので、まずは基本の塗り方から一緒に始めてみましょう。
用意するもの
紙はどの種類でも構いませんが、表面がゴツゴツしすぎないものがおすすめです。下敷きを敷くときれいに塗れます。色鉛筆は24色程度あれば十分。メーカーは問いません。
基本の持ち方と塗り方
芯の先端ではなく“横腹”を使い、広い面でふんわりと塗ります。手をやや上で持ち、鉛筆を斜めにして、横方向に大きく動かしながら少しずつ下へ下げていきます。隙間ができないよう、ゆっくり均一に。濃淡をつけたいときは、上部をやや強めに、下へいくほど力を抜いてグラデーションにします。濃くしたい場合でも一度で濃くせず、何度か重ね塗りしましょう。塗っている最中は鉛筆を紙から離さないのがコツです。
2色グラデーション
1色目で上から下へ向かうグラデーションを作り、2色目は“上の途中”から重ねます。どちらも上を濃く、下へ向かって薄く。全体を2回以上重ねると、なめらかなつながりになります。
背景1:青空と雲
青で横方向に塗りつつ、下部に「もくもく」とした雲の形を薄く描きます。輪郭は厳密にとらず、少しはみ出すくらいが柔らかい雲らしさに。上から水色を重ね、上部は濃く、下部は薄く。雲の中にもごく薄く色を入れると、影がついて立体感が出ます。さらに青・水色を重ねて深みを加えれば、短時間で空らしい表情になります。
背景2:夕景の街並み+消しゴム
青・紫・ピンクを上から順に重ね、上ほど濃くして黄昏の空色を作ります。芯の先端で長方形や三角形を散らし、ビルのシルエットと窓を描きます。色はざっくりでOK。スティックタイプの消しゴムがあれば、空の上から消して月や星を入れます。形は大まかで良く、輪郭は後から色鉛筆で整えます。月の周囲に黄色を薄く広げると、淡い発光感が出ます。
背景3:光の玉(ボケ)表現
鉛筆を下の方でつまむように持ち、芯を横にして“くるくる”と柔らかく塗ります。大小の円を重ね、円の縁に近いほど少し濃く、離れるほど薄く。交差部分は芯の先で軽くなぞって締めます。ピンクをベースに、部分的に紫を重ねると幻想的な雰囲気に。円の中心に黄色を少量入れてもきれいです。最初は濃くしすぎず、ふわっとした質感を保ちながら重ね塗りを練習しましょう。
背景4:縦ストロークのカラフル背景
鉛筆を縦方向にのみ動かして塗る、シンプルな方法です。あえて隙間を残し、そこへ別の色を差し込むと、手早くカラフルでアートな背景が作れます。使う色や重ね方、色数によって印象が大きく変わるのも魅力です。
応用:チェック柄
縦方向の線を一定間隔で描き、次に横方向の線を重ねます。全体を薄く一色でなじませ、別色の細い線を格子の間に追加すれば、即席のチェック柄になります。
応用:木目
全体を黄土色で縦塗りし、上から茶色で太さ・濃さ・間隔をランダムに変えた線を引きます。緩やかなカーブや節を描き足すと、木目の質感が出ます。枠や背景に応用できます。
背景5:4色のランダム重ね
4色を用意し、つまみ持ちで斜めに短いタッチをランダムに配置します。同じ色が隣接しないように、意図的に“飛び飛び”で置くのがポイント。上から別色を少しかぶせ、必要に応じて濃さや数を調整しながら重ねます。重ねずに配置するだけのバージョンも可愛らしく仕上がります。
以上、どれも簡単に取り入れられる基本テクニックです。今回の方法を土台に、色の選び方や重ね方を変えるだけで、無限にアレンジが広がります。ぜひ気軽に試してみてください。ご覧いただき、ありがとうございました。